歯科矯正D2Cサービス『Oh my teeth』、売上が4倍増 成長の契機はターゲットの見直し | 日本ネット経済新聞

西野誠CEO
歯科矯正D2Cサービスを提供するOh my teeth(オーマイティース)が急成長している。2022年9月期の売上高は前期比4倍と大幅に増収している。
顧客ロイヤルティーを測るNPS(ネットプロモータースコア)において、定額制動画サービス「ネットフリックス」を大幅に上回る結果が出ているという。”通院しない”という歯科矯正サービスと、手厚いフォロー体制を提供し、顧客からの強い支持を集めている。
同社が手掛けるマウスピース矯正サービス「Oh my teeth」は、最低1回の通院のみで、あとは自宅で歯科矯正が行えるサービス。
消費者はオンライン上で通院予約を取り、歯の3Dスキャンを取る。後日、3Dスキャンから作成した矯正器具が届き、矯正を始める仕組みだ。
「通院不要コンセプトは私の過去の実体験が関係している。歯の治療となると何回も通院しないといけなかったり、予約したのに待たされたりと、スムーズに進まなかったことがある。この問題を解決できるサービスを提供したかった」(西野誠CEO)と振り返る。
現在は安定的に成長できているが、サービス開始当初は苦労することもあったという。ターゲットを再設定するなど、柔軟に戦略を変更している。
「当初は20代前半の身だしなみに気を使う女性をターゲット層に設定していた。だがアンケートを取ると、女性は『口コミ』や『有名人愛用』を重要視していること、中には『通院しない』ことに魅力を感じていない人がいることも分かった。その点、男性の方が『通院しない』ことに関してはメリットを感じているようだった」(同)と説明する。
ターゲット層を30代の男性に変更してから、事業は右肩上がりで成長している。「オンライン接客」にも注力し、さらなる事業拡大につなげたという。「LINE」での無人・有人チャット、「Zoom(ズーム)」での画面上の対面診察などを通じて、ユーザーの不安と疑問解消に努めてきた。
「ちゃんと矯正されているのかという疑問から、歯に少し痛みがあるという緊急性が高い問題まで、医師が24時間体制でユーザーの疑問を解消している。歯科医院に行かなくても気になったことはすぐに解消できるフォロー体制を構築できている」(同)と自負する。
独自のビジネスモデルと、フォロー体制の充実さから、現在では口コミで利用者が増加しているという。
今後も「歯」のケアに関して新たなサービスを提供していくという。
「ゆくゆくは歯の治療が必要ない世界を目指している。歯医者に行くのではなく、全て自宅で歯のケアが行える『未来の歯科体験』を生み出していきたい」(同)と意気込みを示す。